「自分は今までニートだったからブラック企業しか雇ってくれない」
「一度既卒になってしまうと、仕事を選ぶ権利はなく、働けるだけで有難く思わないと」
現在ニートで就活をしている方はこのように考えていませんか?
たしかに既卒就活をしていると、「ブラック企業かな?」と思うような悪条件の求人によく出くわします。
私も大学卒業後、ニート期間を経て就職しましたが、自分の経歴で応募できる求人票を見ると、いかにも怪しい企業ばかり。
自分はブラック企業にしか入社することはできないんだなぁと考えていました。
しかし、それは間違いです。
ニートでも職歴なしでも、ブラック企業を避ける方法はいくらでもありますし、仕事だって選べます。
それにはまずブラック企業の特徴を知り、見分けられる力を養うことが大切です。
ブラック企業の定義 ブラック=違法
まずはブラック企業という言葉が曖昧ですので、「違法性のある企業=ブラック企業」と定義して話を進めていきます。
毎年12月に「ブラック企業大賞」というものが発表されていて、ニュースにも取り上げられています。
ブラック企業とそれを生み出す背景や社会構造の問題を伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることをめざし、毎年企業名を公表しているのです。
ノミネートされた企業名と理由は、ホームページ(ブラック企業大賞)で見ることができますが、なかには誰もが知る大企業も名を連ねています。
ブラック企業というと中小企業をイメージしがちですが、有名企業や一流企業にも「ブラック」が潜んでいるのです。
ではそもそもブラック企業とはどのような企業のことをいうのでしょうか。
1990年台には「3K職場」という言葉がありました。「キツイ・汚い・危険」の頭文字を採ったもので、建設や製造などの現場における厳しい職場環境を指したものです。
しかし、いまのブラック企業は必ずしも3K職場であるとは限らなくなりました。
例えば、危険な作業に従事する職場であっても、働く人への安全対策が法令に従って守られていればブラック企業とはいいません。
はじめに紹介したブラック企業大賞では次のようにブラック企業を定義しています。
①労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業
②パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人
このように、ブラック企業の活動には「違法性」があります。
それならば、就職活動において企業をしっかりと調べればブラック企業を見つけることは可能であり、ましてや就職先の選択肢に加わることもないはずです。
ブラック企業に入社してしまう人には、求人広告をうのみにしたり、給与だけにこだわって他の労働条件を確認していないなど、不十分な就職活動の結果であることが多いのです。
違法となる労働
まずは自身が労働に関係する法令についての知識を身につける必要があります。
例えば労働時間や時間外労働、法定休日などが法令でどのように定められているか知っているでしょうか。
労働時間は「1日8時間以内」「1週間40時間以内」が原則です。
時間外労働の割増賃金は「月60時間までは割増率25%以上」「月60時間以上は割増率50%以上」「夜22時から朝5時まではさらに25%割増」です。
法定休日は「1週間に1日」か「4週間に4日」です。
ブラック企業の被害に遭わないためには、労働者自身が働くうえでのルールを正しく理解している必要があります。
言い換えればブラック企業は労働者の知識不足を利用しているといえるのです。
ブラック企業の特徴と見分け方
さらにブラック企業の特徴には「年間を通じて求人が出されている」ことがあげられます。
これは離職率が高いため常に労働力が足りず、労働者に過重な負担を強いて、結局使い捨ててしまうという悪循環になっている可能性があります。
特にサービス業や建設業など、人手不足が深刻な業種では、サービスを維持するために過重労働になりやすい状況があります。
次は「みなし残業制」です。
これは「固定残業代」ともいい、あらかじめ決められた残業時間の手当を固定給に含むやり方です。
例えば「月給23 万円 ※基本給 20 万円+固定残業代(30 時間相当分・3 万円)」のように示されますが、この制度を悪用する企業が多くあります。
固定残業代は決められた残業時間に満たなくても支払わなくてはいけませんが、これを支払わなかったり、残業時間を超過してもその超過分の残業代を支払わないケースが多いのです。
このほかにも厚生労働省では「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として企業名や違反内容をホームページ(長時間労働削減の取り組み)で公表しています。
また、ブラック企業は経営者が作るだけではなく「ブラック社員」がブラック企業を維持させている場合もあります。常態化している長時間労働などの過重労働を“会社への貢献”として他の従業員にも強いる人もいるのです。
最近ではインターネットに会社の評判などを投稿する口コミサイトがいくつも作られています。そのすべてが真実であるとは言えませんが、やはり悪い評判が書き込まれている職場には注意が必要です。
ニートからホワイト企業に入社するためには
ホワイト企業と出会うためには企業を調べることが非常に重要です。そのために活用すべき場所がハローワークです。
「ハローワークの求人にはブラック企業が多い」という話をよく耳にします。
その理由として、ハローワークは無料で求人を出すことができるからだといわれますが、実際にはブラック企業が特別に多いということはありません。
逆に、ハローワークでは法令に違反する労働条件の求人は受理されませんし、求人票の書式も統一されているので労働条件などの比較がしやすくなっています。
また、求人内容についての詳しい内容を相談員に質問することもできます。
いま、ハローワークでは若者の就職支援に力を入れおり、就職・転職の専門家である相談員が親身になってアドバイスや企業への照会もしてくれます。
就職活動において相談できる人がいることは大変心強いものです。
ハローワークを活用するもうひとつの利点は職場見学です。職場見学を個人で依頼するのは難しいですが、ハローワークを通せば職場見学の可否を企業に問い合わせてくれます。
採用に熱心な企業は職場見学も積極的に受け入れてくれます。
このような企業の姿勢や、実際に職場になるかも知れない場所の様子、従業員の雰囲気などを自分で確かめることがホワイト企業探しの近道となります。
さらに、ホワイト企業の条件として加えたいのが社員のスキルアップへの取り組み、つまり「研修制度」です。これからの時代、働く人に求められるのは機械でもできる単純労働ではなく、より高いスキルになります。
働きながらスキルアップを計るには会社の理解と協力が不可欠です。そのように従業員に対する研修や教育に対する必要性を認識し、補助や制度を用意しているかについても、これからの企業に求められる姿勢であるといえます。
このように企業について様々な調べ方をすることでブラック企業を見分け、“はまる”ことなく職場を選ぶことができます。最初の職業はこれからの長いキャリアに大きな影響を与えることになります。そのためにも、手間を惜しまず納得できる就職活動をしてください。
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